コワーキングスペースやバーチャルオフィスの機能に加えて、宿泊施設も兼ね備えている小高パイオニアヴィレッジ。福島県で運営しているバーチャルオフィスの一つです。
今回は、小高パイオニアヴィレッジの担当者の方に特徴や強み、どのような方が利用するのか、今後の展望などを聞いてみました。
東日本の震災で避難区域に指定された地域で運営する複合施設
ー 小高パイオニアヴィレッジの特徴やコンセプトを教えてください。
小高パイオニアヴィレッジ:
小高パイオニアヴィレッジは、東日本の震災によって避難区域にも指定された地域で運営しています。100の課題から100の事業を創出するフロンティアと定義して事業創出に取り組んでいます。
その場所で、宿泊機能も兼ね備えたコワーキングスペースという形で運営しています。若い20代から30代の方が中心として集まって、事業を創出したり、交流が生まれたりする機能が備わった環境になっています。
宿泊機能が備わることにより会員同士の関わりの薄さを解消
ー 宿泊施設とコワーキングスペース(バーチャルオフィス)が共に備わっている施設は殆どないと思いますが、なぜ一緒に運営しようと思ったのでしょうか。
小高パイオニアヴィレッジ:
現在は、避難指示は解除されていますが、過去に避難指示が出たことで、地域の担い手となる人材が地域に戻りにくい状態となっていました。
そのため、本気で取り組みたい人材を外から集める必要がありました。従来のコーワーキングスペースのように、日中のみの運営だけだと会員同士の関わりが薄いと考えていました。
宿泊機能があることで、観光や調査によって地域を知るきっかけが生まれます。また、本格的に事業をやる場合の住まい問題の解決にもつながっていると思います。宿泊機能があることで場として受け皿が広がったと考えています。
ー 宿泊する方のほとんどはビジネスに絡めて宿泊する方が多いのでしょうか。
小高パイオニアヴィレッジ:
はい、ビジネス絡みで宿泊される方が多いです。観光を目的にする方も一部いますが。
小高パイオニアヴィレッジの会員様が声をかけて、その声をきっかけに別の地域から訪れる方もいます。そこでまた会員同士の交流が生まれて、また人が集まるという循環もできている気がします。
一度ゼロになったからこそ自由な発想を持つ起業家が集まるように
ー なぜ福島という地域に目をつけて運営を始めたのでしょうか。
小高パイオニアヴィレッジ:
この地域は、震災によって一度ゼロになってしまった地域です。ゼロになったからこそ、一から開拓していきたいと考え福島でこの事業をスタートしました。
一から事業を作っていこうと勢いのある若者がいて、国自体も新産業を興すために予算を設けている状態でもあるので、優れたビジネスが起こりやすい環境になったと思います。
ー ゼロになってしまったからこそ良かった部分もあったりするのでしょうか。
小高パイオニアヴィレッジ:
それは、明確にあると考えています。ゼロになったことで固定概念も壊され自由な発想を持つ起業家が増えたと感じています。
「宇宙産業」、「馬を企業の研修に用いるビジネス」や「新しいジャンルの酒を製造するビジネス」などがあったりして、私自身もユニークなビジネスだと感じています。
福島という地域性を生かしてユニークな使い方をする事業が多数
ー バーチャルオフィスの利用者ではどのような方が多いのでしょうか。
小高パイオニアヴィレッジ:
個人事業主や、小規模の法人の利用が多いと思います。
ユニークな使い方だと思うのは、福島の地域で事業をすることによって補助金を受け取れる場合があるので、そのためにバーチャルオフィスの住所を利用している方もいます。
ー 利用者の声で満足度が高い声はどのようなものがありますか。
小高パイオニアヴィレッジ:
事業を立ち上げた後に小高パイオニアヴィレッジを利用して、別の事業家とつながることができるのが魅力という声はよく届きます。
初めて来られた方でも、小高パイオニアヴィレッジのスタッフがヒアリングして、良いビジネスマッチが見込めそうな方と結びつける役割を果たしています。偶に、起業家を呼んでセッションを開くこともあります。
ー ここまで聞いていて他のコワーキングスペースよりもマッチング要素が強い施設だと感じました。
小高パイオニアヴィレッジ:
まさに、そこは設立した時から考えていた部分です。ベンチャーキャピタルの方も関わっているので、投資が生まれる場合もあります。
ー 利用者の声で課題となる声はどのようなものがありますか。
小高パイオニアヴィレッジ:
オープンスペースで運営していることもあるため、個人で静かに働きたかったり、オンライン会議を活用したいという方には少し向いてないのかもしれません。
ー 今後個人でバーチャルオフィスを利用する方は増えていくと思いますか。
小高パイオニアヴィレッジ:
増えていくと思います。福島にある私たちの地域以外でも少しずつ復興が進んでいって、投資や支援金も増えていくので企業の進出も増えていくのではないかと思います。
そのような人たちが増えたときに小高パイオニアヴィレッジが受け皿となるような環境になっていれば嬉しいです。
ー今後の展望があれば教えてください。
小高パイオニアヴィレッジ:
小高パイオニアヴィレッジにいた会員たちが少しずつ外に拠点を作って巣立つ機会が増えています。その巣立った人達を介して、またパイオニアヴィレッジに集まってきて欲しいと考えています。
元々、パイオニアヴィレッジも、「先駆者になり事業家たちがどんどん巣立ち村のようにしていきたい」という想いからついた名前です。今後も、起業家を支援する仕組みを更に作っていきたいと思っています。
ー最後にPRがあればよろしくお願いします。
小高パイオニアヴィレッジ:
福島沿岸部で起業家を支援しています。補助金や創業の支援もしているので、もし福島に興味を持って起業を考えている場合は是非小高パイオニアヴィレッジをご活用ください。